
組合せ最適化、生産性を向上させる事例6本を解説
2025.2.28
株式会社Laboro.AI リードマーケター 熊谷勇一
執行役員 マーケティング部長 和田 崇
概 要
ビジネスの現場では、限られた資源を最大限に活用する方法、つまり戦略を考え抜いて実行し、効率を向上させることが求められます。その鍵となるのが「組合せ最適化」です。膨大な選択肢の中から最適な解を導き出すこの技術は、物流や製造などさまざまな業界でシフト管理や設備運用など幅広く活用されています。そして現在ではAI活用を見据えるのが半ば当然となっています。
本コラムでは、組合せ最適化がもたらす具体的なメリットと最新の活用事例を6本取り上げ、その可能性を示します。
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目 次
・組合せ最適化とは
・ビジネスにおける組合せ最適化の事例
・路線におけるダイヤの復旧
・物流における経路の最適化
・製造業における生産スケジュールの最適化
・業務シフトの最適化
・広告キャンペーンの予算配分最適化
・施設機能の最適化
・まとめ
組合せ最適化とは
組合せ最適化とは、複数の選択肢の中から、与えられた条件に最適な組合せを見つける技術です。物流や製造業、金融、医療など幅広い分野で活用されており、効率化やコスト削減を実現する手法として注目されています。
例えば物流業界では、配送先が増えるとルートの選択肢が膨大になります。これに組合せ最適化を活用することで、最適な配送ルートを導き出すことができます。その結果、燃料コストの削減や配送時間の短縮、さらには顧客満足度の向上が期待できます。
製造業では機械の稼働時間や作業工程の組合せを最適化することで、生産性の向上につながるでしょう。こうした技術は、企業の利益を高めるだけでなく、環境負荷の低減にも貢献すると考えられています。
一方、組合せ最適化の計算量は、選択肢の数が増えるほど急激に増大します。そのため、すべての組合せを試す方法では現実問題に対処することができません。
この課題を解決するために、近似解を求めるアルゴリズムが開発されてきました。特に、遺伝的アルゴリズムや焼きなまし法といったヒューリスティック手法は、膨大な組合せの中から比較的短時間で良好な解を見つける手段として広く活用されています。
参考:MSIISM「難しくても使いこなす組合せ最適化(1) ー問題例と解き方ー」
ビジネスにおける組合せ最適化の事例
組合せ最適化は、ビジネスのさまざまな分野で活用されています。特に、物流や製造、金融、交通インフラなど、効率性が求められる領域では、最適な組合せを見つけることがコスト削減やサービス品質向上に直結します。
鉄道路線におけるダイヤの復旧
例えば列車の遅延が発生した際に、どの列車を優先して運行させるべきか、どの駅で待機させるのが最適かといった判断に組合せ最適化を活用することで、膨大な組合せの中から最適な答えを迅速に見いだせる可能性が出てきます。
従来は経験則や手作業に頼っていた解の探索も、最適化アルゴリズムを導入することで、より短時間で合理的な判断ができるようになりました。
そうした自動のダイヤ調整システムは、異常発生時の運行計画をリアルタイムで変更し、最適な運行パターンを瞬時に導き出す仕組みであり、遅延の影響を最小限に抑えるだけでなく、運行管理の負担軽減にもつなげられます。
参考:日本経済新聞「鉄道の復旧ダイヤ、数分で作成 「スジ屋」に迫るAI」

物流における経路の最適化
物流業界では、配送ルートの効率化が重要視されています。大規模な小売業では、短時間で多くの商品を届ける必要がありますが、最適なルート設計がコスト削減と環境負荷軽減を実現可能です。
ファミリーマートは、独自のAI技術を活用し、全国69カ所の物流センターで配送ルートの最適化を進めています。コンビニの物流では、弁当や総菜などを決まった時間に届ける必要があり、配送時間の調整が課題となっていました。
そこでAIを活用した最適化により、ルートの数を1割削減し、ルート作成時間も8時間から1時間へ短縮しました。全国展開後には輸送費を年間10億円以上削減し、CO2排出量を1300トン削減できる見込みを立てています。
参考:日本経済新聞「ファミマ、AIで物流網改革 全国のセンターでルート最適化」

製造業における生産スケジュールの最適化
製造業では、生産スケジュールの最適化が大きな課題であり続けてきました。複数の製品ラインを効率的に管理し、生産コストを抑えながら納期を厳守することが求められる中、組合せ最適化の技術が活用されています。
日立ハイテクでは、需要の変動に応じた生産計画の自動調整を導入しました。従来は手作業で行っていたスケジュール管理を、AIと最適化アルゴリズムによって瞬時に算出することで、稼働効率を高めています。これにより、生産工程の無駄を省きながら、突発的な変更にも迅速に対応できるようになったとしています。
参考:日本経済新聞「日立ハイテク、「ルマーダ」で生産計画の作成短縮」

業務シフトの最適化
従来のシフト管理は、経験則に基づく手作業が中心でした。しかし近年は、AIと組合せ最適化を活用し、勤務時間のバランスを考慮した効率的なシフト作成が可能になっています。
AIを活用することで、過去の勤務データや繁忙時間帯を分析し、適切な人員配置を自動算出するシステムを導入できます。これにより、過不足のない適切な配置が実現し、従業員の負担軽減と業務効率の向上が見込めます。
労働時間の適正配分は、時間労働の削減や有給取得率の向上にもつながります。実際にシフト最適化の導入は、間接的にスタッフの満足度向上や、離職率の低下にも役立つことが期待できます。
参考:PR TIMES「引っ越し業、製造業が抱える勤務シフトの課題に対応するOptamoミニセミナーを開催」

広告キャンペーンの予算配分最適化
AIを活用した広告予算の最適化では、過去の広告パフォーマンスや市場データを分析し、最も効果的な媒体・時間帯・ターゲットに予算を配分します。
例えば、特定の時間帯やデバイスで広告のクリック率が高い場合、AIがリアルタイムで予算の比重を調整し、無駄な出費を抑えながら広告効果を最大化する仕組みです。
この手法を導入した企業では、広告予算の使用効率が向上し、ROI(投資対効果)の大幅な改善につながります。AIによるデータ分析を基に継続的な調整が行われるため、キャンペーン期間中も最適な戦略が維持されるという利点も期待できるでしょう。
参考:Appier「AIによる予算管理で広告予算を最大活用する方法」
施設機能の最適化
オカムラは、物流テクノロジー企業のGROUNDと資本提携を強化し、AI技術を活用した物流施設の最適化を推進しています。
両社は2016年からロボット技術を活用した物流システムの開発に取り組み、大型・中型の物流施設の効率化を支援してきました。今回の提携強化により、物流施設内の作業進捗や設備の稼働状況、人員配置などをAIが分析し、最適な運用を可能にするソフトウエアを導入する予定です。
この技術により、施設内の作業負担を軽減し、より効率的なオペレーションが実現につながります。従来、人の手に頼っていた作業を自動化することで、労働力不足の問題にも対応できるとしています。
参考:MONOist「オカムラ、GROUNDに追加出資 物流施設のAI最適化を強化」
まとめ
組合せ最適化はスケジューリングやリソース配置が対象になるため、ほぼすべての業界で活用できる技術です。そのため、自分がいる業界でいま導入が進んでいなくても、将来的には当たり前に活用される技術となって、導入が遅れると競争力の低下につながるリスクがあります。技術動向の注視や、自社導入の可能性を探ることは常に続けた方がいいでしょう。
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執筆者
マーケティング部 リードマーケター 熊谷勇一
中央大学文学部卒業、北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士前期課程修了。日本経済新聞社など日経ブランド企業で16年以上、雑誌、書籍、ウェブサイト、動画などの編集・執筆を手掛けた後、2022年からLaboro.AIに参画。
執行役員 マーケティング部長 和田 崇
立教大学大学院経営学修士(マーケティング論・消費者行動論)。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科博士後期課程中退。KDDI株式会社に入社、コンシューマ向け商品・サービスのクロスメディアによるプロモーション施策の立案・企画運営に携わったのち、全国漁業協同組合連合会を経て、2019年にLaboro.AIに参画。マーケティング/ブランディング業務に従事する傍ら、NewsPicksプロピッカーとして活動するほか、日経クロストレンドなどメディア寄稿多数。



