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大規模アンケートをその場で仮想実施。生成AIエージェント『仮想WEBアンケート』を解説

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大規模アンケートをその場で仮想実施。
生成AIエージェント『仮想WEBアンケート』を解説

2025.7.7
株式会社Laboro.AI 執行役員 マーケティング部長 和田 崇

概 要

当社Laboro.AIでは、去る2025年6月18日、自社初となる生成AIエージェントをベースにした対話型プロダクト『未来リサーチ』(商標・特許出願中)を発表しました。このコラムでは、そのアプリケーションの一つであり、WEBアンケートの調査設計書の作成から、調査の実施、調査レポートの作成、マーケティング企画書の作成までをその場で実行することをテーマにした『仮想WEBアンケート』を取り上げ、その概要や実際の出力、活用メリットなど紹介していきます。

目 次

マーケティング・リサーチの王道、WEBアンケートに迫る影
生成AIエージェントプロダクト『未来リサーチ』とは
大規模アンケートをその場で実施する『仮想WEBアンケート』とは
 ・① ヒアリング&調査設計書の作成
 ・② WEBアンケートの実施&レポートの作成
 ・③ 企画書の作成
『仮想WEBアンケート』の信頼性の検証
仮想的に収集した情報からアイデアを拡張する
未来リサーチのサービス提供&事前登録(ウェイティングリスト)について

マーケティング・リサーチの王道、WEBアンケートに迫る影

食品、家電、ファッション、車などなど、あらゆる業界のマーケティングにおいて、WEBアンケートは最も気軽で、低コスト、スピーディな調査手法として、マーケティング・リサーチの王道になりつつあります。

その歴史は1990年代に遡ります。インターネットの普及に伴って提供が開始、ただ当時のインターネット利用者は1,000万人程度、デジタル・リテラシーの高いサンプル(回答者)に偏っているという批判もあり、特殊な調査手法という見られ方が主流でした。郵送調査や電話調査、訪問調査といった“アナログ”な調査手法が代表的だった当時からすれば、いつでもどこでも簡単に調査結果が得られることを謳ったWEBアンケートは、信頼性の観点からも疑いの目で見られていたのかもしれません。

そして2000年代以降、人口のほとんどがインターネットを利用するようになり、スマートフォンの普及率も高まるにつれ、WEBアンケート市場は急成長しました。最新の統計では、その市場規模は1,000億円近くにもなり、アドホックな定量調査の7割以上を占める中核手法としての地位を築くようになっているそうです。

ですが、たしかに従来手法と比べるとその簡易さに強みをもつWEBアンケートではあるものの、その調査設計や結果分析には、専門知識を持った上で一定の期間・コストがかかることが実際です。その一方でマーケティング・リサーチ企業の50%以上がこうした知見を持った中堅リサーチャーの不足を課題として挙げているといった報告もあり、人材不足を背景にした陰りが見え始めている状況でもあります。

また、調査主である企業側が効率を過度に重視した結果として、品質が疎かにされている側面も少なからずあるようです。回答者の80%以上が負担を感じるとする10分以上を必要とするアンケートが横行する状況を招いてもいて、ストレスフリーな状態での消費者の回答を本当に拾い出せているのか、懸念の声も挙げられています。

近年、生成AIやLLM(大規模言語モデル)、AIエージェントの革命的な登場により、従来のマーケティング・リサーチを代替することを目指したツールが多数登場しています。ですが、前述のような状況を踏まえると、恐らく効率化や人員代替を目的としたAIの使い方は本質的ではありません。

消費者に関する答えは、やはり生身の消費者の中に眠っています。「安い」「早い」「簡単」の三拍子が揃ったWEBアンケートを有効な調査手法として活用し続けていくことを前提に、不足が叫ばれる専門人材の設計・分析の負荷を下げ、回答者の負担を最低限に抑えることを目指して、疑似的な調査機会を創出していく。言ってみれば「本番前の予行演習」のために生成AIを使うことを通して、実査での質を向上させることが、マーケティング活動の高度化のためのAI活用の有効なアプローチなのではないかと思うのです。

出典:一般社団法人 日本マーケティングリサーチ協会「経営業務実態調査」

生成AIエージェントプロダクト『未来リサーチ』とは

今般当社が開発を発表した『未来リサーチ』は、WEBアンケートを含む様々なマーケティングの調査手法から得た発想をもとに、各種企画業務におけるアイデア創出や仮説検証を支援することを目指した、生成AIエージェントベースのプロダクトです。

未来リサーチには、例えば、コンサルタント、消費者、リサーチャー、プランナー等の機能を持たせたAIエージェントが仕込まれており、各々のエージェントがユーザーへの課題のヒアリングと深掘り、仮想的なリサーチの実施、調査レポートの作成、調査結果を踏まえた企画書の作成までを、その場で実行することを基本機能としています。各エージェントが自律的に役割を実行するので、ユーザーは、基本的にAIコンサルタントから投げ掛けられる質問に答えるだけでレポートや企画書の作成までを完結することができます。

そして、未来リサーチの何よりの特徴は、「リサーチ発想のアイデア拡張コレクション」というコンセプトにあります。従来の市場調査を代替することではなく、それらをヒントにした斬新なアプローチのタスクをエージェントに実施させることを通して、新商品・サービス企画、新規事業企画、広告宣伝、プロモーション、販売促進などのマーケティングの各種企画業務に従事する方々がお持ちのアイデアを、さらに拡張することをコンセプトにしています。

それを具現化するのが未来リサーチを構成する各アプリで、例えば、

・未来時間の消費者へのインタビュー調査をする『未来グループインタビュー
・未来の市場でフィールド調査をする『未来エスノグラフィ
・本来は見ることができない消費者の脳内を覗いて意思決定プロセスを抽出する『買い物脳スコープ
・大量サンプルに対するWebアンケートを仮想実施する『仮想Webアンケート
・斬新な切り口で企画ブレインストーミングを実施する『“3%だけ”進化させる新商品アイデア

など、それぞれのテーマをもったアプリをラインナップしています。(段階的にさらに追加していく予定です。)

そして今回は、このうちの一つ、『仮想WEBアンケート』を実際のデモ画面と共にご紹介したいと思います。

大規模アンケートをその場で実施する『仮想WEBアンケート』とは

仮想WEBアンケート』は、生成AI・LLMの優れた言語能力、もっと言えば大胆な想像力を用いて、調査設計書の作成から、WEBアンケートの実施、調査レポートの作成、マーケティング企画書の作成までを、その場で仮想実施するアプリです。

どのような消費者を対象としたいのか、アンケートのテーマや目的は何か、サンプル数はどれくらいかなど、AIコンサルタントからのヒアリングに回答すれば、その場で調査を実行し、数分の間に調査結果をレポートしてくれます。

デスクに座ったままでの企画検証や消費者ニーズ・市場動向の把握、実査に向けた調査設計の検証などに最適なアプリで、商品企画、新規事業企画、広告宣伝やプロモーション戦略の立案など、マーケティングの幅広い企画業務でご活用いただけるものです。

では、デモ画面と共にその実際のやりとりを見ていきましょう。なお、登場するデモ画面は執筆時点のもので、今後の開発状況に応じて仕様等が変更になる場合がございますことを予めご了承ください。

① ヒアリング&調査設計書の作成

基本的な入力画面はChatGPTなどの対話型AIと同様で、初回の入力はユーザー側から行います。今回は、食品メーカーの新商品開発担当という想定で、以下の悩み相談をしてみました。

私は食品メーカーの新商品開発担当です。
次なる新商品として企画中の「オーガニック野菜チップス」について、ターゲット層や具体的なニーズを把握するための調査を実施したいです。

すると、さっそくAIコンサルタントから調査目的に関する質問を受けました。今回は、「購買意向、ニーズ、購入にあたっての心理的ハードルの把握」が調査の目的であるとして回答したいと思います。

次に、調査対象の属性についての質問があったので、「健康や美容への意識がとくに高く、出費にも余裕があると思われる20〜40代の女性」をメイン対象にしたい旨を伝えました。すると早速、以下のような調査設計書を作成してくれました。

調査概要
本調査は、健康・美容意識が高く、比較的支出に余裕のある20~40代女性を対象に、オーガニック野菜チップスの購買意向、購買時の訴求ポイントおよび購入に際する心理的ハードルを把握し、新商品開発およびコミュニケーション施策立案に活用することを目的とします。
 • 調査手法:Webアンケート(インターネットリサーチパネル利用)
 • 調査期間:2025年7月15日〜7月18日(予定)
 • 回答所要時間:約5~7分
 • インセンティブ:300ポイント相当(回答完了者全員)

調査対象者
 • 性別:女性
 • 年齢:20〜40歳
 • 居住地域:全国
 • 世帯年収:400万円以上
 • その他:健康・美容への関心が高い自己申告者(スクリーニング設問にて抽出)
 • 回収目標サンプル数:400サンプル

設問詳細 ※設問数:全15問(スクリーニング含む)

1. スクリーニング設問
1-1) あなたの性別を教えてください。
 • 男性(調査対象外)
 • 女性
1-2) あなたの年齢を教えてください。
 • 20〜24歳
 • 25〜29歳
 • 30〜34歳
 • 35〜40歳
 • それ以外(調査対象外)
1-3) あなた自身の健康意識および美容意識について、以下のうち当てはまるものを選んでください。(※両方とも当てはまる場合は「両方当てはまる」を選択)
 • 健康意識が高い
 • 美容意識が高い
 • 両方当てはまる
 • どちらともいえない(調査対象外)
1-4) 過去6ヶ月間にスナック菓子(ポテトチップス・コーンスナック等)を購入したことがありますか?
 • はい
 • いいえ(調査対象外)

2. 購買意向に関する設問(4問)
2-1) オーガニック野菜チップスを市場で見かけた場合、どの程度購入したいと思いますか?
(5段階評価:1=まったく購入したくない、5=ぜひ購入したい)
2-2) 購入検討時に重視するポイントをすべてお選びください。(複数選択可)
 • 原材料がオーガニックであること
 • 野菜本来の味わい
 • 味のバリエーション(フレーバー)
 • 価格
 • ブランド・メーカー
 • パッケージデザイン
 • 添加物が無添加であること
 • 賞味期限
 • その他(自由記述)
2-3) 上記で選んだ中で、最も重要なポイントはどれですか?
 • (2-2の選択肢と同じリストからシングル選択)
2-4) オーガニック野菜チップスの購入頻度として、どの程度が適切だと感じますか?
 • 月に1回未満
 • 月に1〜2回
 • 週に1回程度
 • 週に2〜3回
 • 毎日食べたい

3. ニーズ把握設問(4問)
3-1) お好みの野菜フレーバー(複数選択可)
 • ほうれん草
 • 人参
 • かぼちゃ
 • トマト
 • ビーツ
 • その他(自由記述)
3-2) 一袋(標準量約30g)あたりの適正価格帯をお選びください。
 • 100円未満
 • 100〜200円
 • 200〜300円
 • 300円以上
3-3) パッケージのデザインイメージとして、もっとも好ましいものをお選びください。(3択でサンプル画像提示)
 • A案(シンプル&ナチュラル)
 • B案(カラフル&ポップ)
 • C案(高級感&落ち着き)
3-4) どの購買チャネルで購入したいですか?(複数選択可)
 • スーパー
 • コンビニエンスストア
 • オーガニックスーパー
 • 通販(メーカー直販)
 • 通販(ECモール)
 • その他(自由記述)

4. 心理的ハードル設問(3問)
4-1) オーガニック野菜チップスの購入をためらう理由があればお選びください。(複数選択可)
 • 価格が高い
 • 味が想像できない
 • 歯ごたえや食感が好みに合わないかも
 • 賞味期限が短い
 • オーガニック表示の信頼性が不明
 • その他(自由記述)
4-2) 上記で選んだ中で、最も大きな懸念はどれですか?
 • (4-1の選択肢と同じリストからシングル選択)
4-3) どの情報があれば不安が解消され、購入意欲が高まりますか?(複数選択可)
 • 有機JASマークの表示
 • 生産者情報の開示
 • 製造工程の詳しい説明
 • 第三者機関の品質認証
 • レシピや食べ方提案の提供
 • その他(自由記述)

(以下、掲載幅の都合から省略いたします。)

サンプル数は400と十分な数ですし、スクリーニングまで含めた詳細な設問も示してくれました。もちろんここで気になる部分があれば調整をコンサルタントに指示することも可能ですが、今回はこちらの設計で進めることします。

② WEBアンケートの実施&レポートの作成

提案された調査設計書に「OK」の返事をすると、いよいよ実査が開始され、間髪入れずに以下のような調査レポートを作成してくれました。

レポートを踏まえると、新商品には比較的高い購入意向があることがわかり、原材料と味のバリエーションが訴求軸になることが示唆されました。具体的なニーズとしては、スタンダードなフレーバー、100-200円の低価格帯に対する需要が見えてきた一方、価格や味への不安が心理的ハードルになりやすいことも同時に把握できました。ここまでわずか数分、従来の調査ではあり得ないスピードで調査結果を把握することができました。

ただ、結果としては至極当然な内容に見えないこともなく、企画にいかせそうなポイントはそう多くはなさそうです。そこで、追加の質問として「新商品にあったら嬉しい機能や仕様、特徴」を自由回答で聞いてもらうことにします。

実際の調査であれば一発勝負、こうした追加質問・途中修正はもちろん不可能です。AIを用いた仮想的なリサーチだからこそできるこうした柔軟性が、後に行われるだろう実査の確実性を高めてくれるわけです。そして、その回答結果が以下のようにレポートされました。

調査レポート追記:新商品に望む機能・仕様・特徴(Q6)
設問6-1 オーガニック野菜チップスにあったら嬉しい機能、仕様、特徴やアイデア(自由記述)

集計結果サマリー(テーマ別)
1. 再封可能なチャック付きパッケージ:240件(60.0%)
 ・”開封後も鮮度を保てるのは嬉しい”
 ・”食べきれない時に便利”
2. 低塩/減塩オプション:200件(50.0%)
 ・”塩分を控えたいので低塩が希望”
3. 個包装ミニパック:160件(40.0%)
 ・”携帯しやすい小分けがあれば、職場や外出先で食べやすい”
4. 環境配慮型パッケージ(生分解性):120件(30.0%)
 ・”捨てるときの環境負荷が気になるので”
5. バラエティパック(複数フレーバー入り):100件(25.0%)
 ・”色々な味を試したいので、お試しセットがあると良い”
6. 栄養成分の強化(ビタミンC、鉄分など):80件(20.0%)
 ・”おやつで健康補助にもなると嬉しい”
7. レシピ・食べ方提案の同梱:60件(15.0%)
 ・”ディップやサラダトッピングとしての使い方が知りたい”

自由記述コメント(抜粋)
 ・「チャック付きなら毎日少しずつ楽しめそう」
 ・「お弁当の副菜として使える小袋があると助かる」
 ・「オーガニックで栄養価も高い成分が入っていれば、罪悪感なく食べられる」
 ・「包装がオシャレだとギフトにもできていい」

分析コメント
消費者は鮮度保持と手軽さ、健康訴求を重視しており、再封可能パッケージや低塩オプション、個包装といった機能的仕様のニーズが高いです。また、環境配慮やバラエティパックといったブランド訴求も効果的と考えられます。これらを組み合わせた新商品の仕様検討が推奨されます。

やはり自由記述コメントは非常に示唆に富んでいて、企画に活かせそうなアイデアが散見されます。もちろんここで、「全400サンプル分の回答を示して」と指示すればその出力は可能ですし、設問間のクロス集計なども実施してくれます。

③ 企画書の作成

それでは、仕上げとしてこれまでのレポートを元にした企画書を作成してもらいましょう。今回は、自由回答で見られた「個包装ミニパック」にとくに着目した新商品企画を立ててもらうことにします。出力された企画書がこちらです。

新商品企画書:オーガニック野菜チップス ミニパックタイプ

1. 背景と課題
近年、健康志向・美容意識の高まりとともにスナック市場ではオーガニック商材の需要が増加しています。当社が実施したWebアンケート(20~40代女性 400名)では、個包装ミニパックのニーズが40.0%にのぼり、携帯性やシェア需要の高さが明らかとなりました(調査レポート Q6)。しかし、従来製品は30g一袋のみの大袋展開であり、外出先やオフィスでの手軽な消費に応える仕様が不足しています。
課題:既存の大袋タイプでは手軽さ・外出需要を取りこぼしている

2. 企画目的
・個包装ミニパックの導入により、新たな購入シーン(オフィス・ジム・お弁当の副菜など)を創出
・主ターゲット(20~40代女性)のライフスタイルにマッチした手軽・高機能スナックを提供し、市場シェアの拡大を図る
・ブランドの健康価値訴求を強化し、競合優位性を確立

3. 商品コンセプト
“いつでもどこでも、ヘルシーに美味しく”
携帯できる個包装ミニパックで、外出先やオフィスでの間食シーンに最適化したオーガニック野菜チップス

4. 主な機能・仕様・特徴
 1. ミニパック(15g×5袋)個包装
  ・一回分の理想的スナック量(約15g)を個包装にし、計5パックを1箱に封入
  ・携帯・シェア・ストックに最適
 2. 再封可能ジップ付き外箱
  ・ミニパック開封後も鮮度を保持
 3. 低塩/減塩仕様
  ・1袋あたり塩分0.5g以下を実現
 4. バラエティパック
  ・ほうれん草/人参/かぼちゃの3フレーバーを各2袋ずつ配置
 5. エコパッケージ(生分解性フィルム使用)
  ・環境配慮型素材でブランドのサステナビリティ訴求
 6. 栄養機能強化
  ・ビタミンC強化配合(1袋あたり推奨摂取量の10%)

5. パッケージデザインコンセプト
・ミニマル & ナチュラル:植物イラストとクラフト調紙素材でオーガニック感を強調
・カラーバリエーション:各フレーバーをイメージしたペールトーンカラーで一目で識別可能
・窓付き小窓:中身が見える小窓を設置し、素材への自信を演出

(以下、掲載幅の都合から省略いたします。)

企画にあたっての前提条件を細かく指定したわけではないので、まだまだ概要にとどまっていますし、数値部分に創作が入っていることなどは否めませんが、叩き台として必要なフレームは示してくれている印象ではないでしょうか。これを元にどの方向に絞って企画を詰めていくのか、加味すべき前提条件はなにかなどの情報を与えながら、企画書としてのクオリティを高めていくのが人とAIの協働による次へのステップです。

『仮想WEBアンケート』の信頼性の検証

大規模なWEBアンケートもその場で実施する『仮想WEBアンケート』ですが、たとえスピーディーに実行ができたとしても、その内容が現実と乖離したものであれば全く意味がありません。とくにLLM(大規模言語モデル)の特性として言われるハルシネーション(幻覚)によって、回答内容が創作される可能性は否定できず、その結果が実際の調査と比べてどの程度一致するのかの検証は欠かせません。

そこで、立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 斎藤明 研究室の協力の下、実際に調査会社を用いて行われた実査の結果と、『仮想WEBアンケート』による調査結果の比較を通して、その信頼性の検証を行いました。

具体的には、「消費者における、バーチャル旅行に対するリアル旅行の価値の把握」を目的に実査された全11問の選択式WEBアンケートと全く同じ設問項目で『仮想WEBアンケート』でも調査を実施し、計5回の仮想調査の結果の合計値から、各設問に設けられた選択肢ごとの回答件数・構成比それぞれの誤差(RMSE:平均平方根誤差)を算出しました。

検証の結果、選択肢ごとの回答件数の比較では実査との誤差が大きいことがわかった一方、構成比の比較での誤差は小さく(RMSE 0.31%)、およそ70%程度の精度で結果傾向が一致していました。簡単に言い換えれば、「○名の人が選択肢Aを選んだ」という実数を予測するには限界があることがわかった反面、「最も多い回答は選択肢A、次に多いのは選択肢B」といった回答傾向を予測することには一定の有効性があることが確認できたということです。

ここから言えることは、この仮想WEBアンケートに限った話ではなく、生成AIを用いたマーケティング・リサーチツール全般は、よほど正確なデータを学習させていない限り、実際の調査を代替できるものではなく、あくまで「企画・発想のための補助ツール」として用いることが理想的だということです。

真の消費者意見を収集できるのは、やはり従来からある実際の調査であり、AIリサーチは「本番のための予行演習」としてあるべきで、現段階のAIがそれを代替しようとすることは、実際の消費者意見を歪めてもしまうリスクを孕んでいます。

未来リサーチのすべてのアプリケーションが、調査代替ではなく「リサーチ発想のアイデア拡張コレクション」とコンセプトを置いているのには、こうした現状の生成AI・LLMの限界と現実を踏まえていることが理由の一つになっています。

仮想的に収集した情報からアイデアを拡張する

いかがでしたでしょうか。本当に消費者がこうした回答を行うのか、出力された企画が本当に成功するのか、こればかりはマーケティングあるいは消費者という不確実性の高い分野では、どうしてもわからないところがあるのは事実です。

ですが、仮想的に言語化された情報をヒントに、あなたの頭の中でモヤモヤとしている部分を刺激させる、あなた自身に秘めたインサイトを拾い出す、あなたがお持ちのアイデアを拡張することには大いに役立つのではないかと考えています。未来リサーチが「リサーチ発想のアイデア拡張コレクション」をコンセプトにしているのは、まさにこうした点にあります。

とくに今回紹介した仮想WEBアンケートは、次のような方にオススメです。
• アンケート調査を実施したいが、費用や手間がかかるため、なかなか踏み切れない
• 新商品の開発にあたり、顧客ニーズを手軽に把握したい

また、その利用メリットは、

• 調査レポート作成まで数分で実行
手軽にアンケート調査を設計、実行できることから、調査レポートの作成まで数分で実行が可能
• 調査設計から、企画書作成まで
コンサルタントのヒアリングに基づいて回答するだけで調査設計し、必要な打ち手のための企画書作成もサポート

などが挙げられます。

未来リサーチのサービス提供&事前登録(ウェイティングリスト)について

未来リサーチは、2025年秋頃のサービス提供を目指して開発を進めており、執筆時現在、事前登録の申込みを受け付けています。優先的な利用案内や先行体験に関する特典もご案内予定ですので、興味を持っていただけた方は、ぜひご登録をいただけますと幸いです。

未来リサーチTM 事前登録フォーム

その他のアプリ解説記事

以下のアプリ解説記事を公開中です。ぜひ、あわせてご覧ください。

未来の消費者にインタビュー。AIエージェント『未来グループインタビュー』を解説
未来の消費者行動を“のぞき見”。生成AIエージェント『未来エスノグラフィ』を解説
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ご留意事項

※ 生成AI・LLMを用いている未来リサーチの回答は、必ずしも正しいとは限りません。重要な情報はお客様ご自身にて十分にご確認ください。
※ 出力や精度に都度バラツキが生じるため、同様の結果が再現できることを保証するものではありません。
※ デモ中に出力された人名・企業名・商品等は、特定の個人・団体・製品等を指定・意図するものではございません。
※ 提供時期や特典等は、予告なく変更になる場合がございます。

参考

プレスリリース:生成AIエージェントプロダクト『未来リサーチ(TM)』の開発、および事前登録開始のお知らせ

執筆者

執行役員 マーケティング部長 和田 崇

立教大学大学院経営学修士(マーケティング論・消費者行動論)。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科博士後期課程中退。KDDI株式会社に入社、コンシューマ向け商品・サービスのクロスメディアによるプロモーション施策の立案・企画運営に携わったのち、全国漁業協同組合連合会を経て、2019年にLaboro.AIに参画。マーケティング/ブランディング業務に従事する傍ら、NewsPicksプロピッカーとして活動するほか、日経クロストレンドなどメディア寄稿多数。

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