プロジェクト事例

目的
効率化・コスト削減
技術
生成
業界
[ 製造 ]
制御設計者のコーディングを高度化・自動化するPLC向け設計コード生成AI
オムロン株式会社様
- エンジニアが自然文のチャット形式で指示を入力すると、必要な情報を検索・参照したうえでコードサンプルを生成、提示
- コーディング作業の短縮・省力化だけでなく、言語や仕様の専門性に長けた熟練人材への依存度を下げることにも貢献
背景
経済産業省らが報告した『2025年版 ものづくり白書』※1によれば、DXが製造業全体の競争力強化に向けた取組みの一つとして位置付けられる一方、個社単位のデジタル化・効率化には一定の成果がありながらも、ビジネスモデルの変革等、高度かつ広範な領域での成果創出には限定的であることが示されています。
とくに欧州では「Industry 5.0」の提唱以降、「Manufacturing-X」などの産業・企業間連携基盤を整備する動きが活性化する中、国内でもこうした産業横断での連携のほか、AI等の先端技術の活用による事業効率の向上が求められています。
オムロンでは、同社の強みであるオートメーションによる価値創造に向けた長期ビジョン「Shaping the Future 2030」を掲げ、そのうち制御機器事業においては、人・産業・環境の未来を創造するための新たなオートメーションのあり方を創出する、持続可能なオートメーションの実現と、サステナブルな社会創造への貢献に向けた取組みが進められています。
本プロジェクトでは、工場・設備の制御システムにおいて極めて重要な役割を担う、制御設計者のコーディングを生成AIによって高度化・自動化することを目指しました。PLC(プログラマブルロジックコントローラ)※2の開発にあたっては、設計から実装までの各所でユーザー企業固有の環境や、ハードウェアの構成・仕様など多様な情報を参照・加味してシステムを構築できる人材が必要になります。しかし、技術者の高齢化や人口減少等の影響から製造業ではこれら人材の確保が社会課題となっています。
今般の取り組みは、近年の技術進化が著しい生成AIを用いることにより、こうした人手不足の状況を解決するだけに留まらず、国内産業全体のオートメーション化の加速に貢献することを目指した取り組みとして位置付けられるものです。
※1 経済産業省・厚生労働省・文部科学省『2025年版 ものづくり白書』(令和7年5月発表)
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/index.html
※2 「PLC」とは、マイクロプロセッサを内蔵し、プログラムで定められた順序や条件などに従って設備や機械の動きを制御する装置です。
開発内容
今般開発した「PLC向け設計コード生成AI」は、PLCを構成する任意のパーツの設計に必要なコーディングをLLM(大規模言語モデル)で支援するものであり、設計者であるエンジニアが自然文のチャット形式で指示を入力すると、必要な情報を検索・参照したうえでコードサンプルを生成、提示します。具体的な内容および得られる成果は以下のとおりです。
<リファレンス探索の自動化による負荷軽減>
仕様書を読み取ったエンジニアが自然言語のチャット形式で質問をすると、AIがハードウェア情報やST言語コード(PLC設計で用いられるプログラミング言語の一つ)に関する情報を検索し、該当するものを抽出します。これにより、従来エンジニア自身がリファレンス情報を探索していた労力・時間が大幅に削減されます。
<コーディング作業の自動化による熟練者依存の低減>
AIが抽出されたリファレンス情報の内容を読み取ったうえで、ST言語の設計コードサンプルを生成し、コーディングの土台をエンジニアに提示します。これにより、エンジニアのコーディング作業が短縮・省力化されるだけでなく、言語や仕様の専門性に長けた熟練人材への依存度を下げることにも貢献します。

今後の展望
現在、国内製造業ではAIをはじめとした先端技術の活用等による大きな変革・DXが期待されるところです。そのような背景のもと、オムロンが推進する「センシング&コントロール+Think技術」の進化による自律社会の実現、オートメーションの高度化による社会全体の豊かさの創造は、まさに産業全体の変革に資する重要な取組みです。当社では、オムロンとの取組みの範囲・機能をより一層拡張・深化させていくことを目指すとともに、AI技術開発によるすべての産業の変革に資することに、引き続き邁進していきます。
参考