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共同検証事例インタビュー

やりたかった調査を、AIで実現

【共同検証事例インタビュー】

やりたかった調査を、AIで実現

サッポロホールディングス DX企画部が語る、AIによるリサーチの変革と「真の顧客理解」への全貌

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概 要

サッポロホールディングス株式会社のDX企画部は、2022年の発足以来、グループ全体のデジタル変革を牽引してきました。今回、AIシミュレーション市場調査サービス「未来リサーチ(ベータ版)」を先行利用パートナーとして導入し、「平均誤差3.7%」という精度を確認。飲料業界が長年抱えてきた「コスト・期間・精度」という3つの壁をどう乗り越えようとしているのか。プロジェクトを主導した桑原様・菊池様に、現場のリアルな反応と、グループ横断で描く「リサーチの未来」を詳しくお聞きしました。

このインタビューで学べること

✓ 飲料業界のリサーチが抱える3つの構造的課題──コスト・スケジュール・評価基準の問題

✓ AIシミュレーション市場調査サービス「未来リサーチ(ベータ版)」が実現した平均誤差3.7%の精度と現場の評価

✓ グループ会社を横断したAIシミュレーション市場調査展開の具体的なロードマップと期待する未来像

1. DX企画部のミッションとグループ全体でのAI活用推進

サッポロホールディングスは2022年より、グループ全体のDX推進に着手。「顧客接点の拡大」「既存・新規事業の拡大」「働き方変革」の3方針のもと、ホールディングスのDX企画部が全体の環境整備を担っています。

Q|貴社のDX企画部におけるミッションと、今回のプロジェクトでの皆様の役割を教えてください。

A|(桑原様)私たちは2022年に立ち上がった組織で、グループとしてのDX推進に取り組んでいます。「顧客接点の拡大」「既存・新規事業の拡大」「働き方変革」という3つの方針を掲げて進めています。サッポロホールディングスのDX企画部としてのミッションは、現場が円滑に動けるための「環境整備」です。具体的には、DX人材の育成やデータ基盤の構築、生成AIの活用環境づくり、さらには各案件がバラバラにならないよう全社的な方向付けを行う「委員会」の運営などを担っています。

メンバーは約20名ほどで、データサイエンティストやエンジニア、企画担当など、多様な専門性を持つ人財が集まっています。AI活用については、現場のボトムアップだけに任せるのではなく、経営戦略に照らして「どの領域を優先すべきか」を私たちが議論し、現場をしっかりとアシストする体制をとっています。

(菊池様)中長期成長戦略の一つである「Bonds with Community(わくわくする体験や新しい楽しみ方の提供)(※)」に基づき、最適な顧客体験の創造のために顧客を深く理解していくことが部の方針としても掲げられており、かつ私の担当業務で、マーケティング領域での仮説検証を進めたいと考えていました。今回のAIシミュレーション市場調査検証も、顧客理解という柱を基に生まれた取り組みです。サッポロビールやポッカサッポロという事業会社を巻き込んだのも、グループ横断でお客様を理解するという戦略的な狙いからです。

(※) サッポロホールディングス「グループ中長期成長戦略」の5つの戦略

https://www.sapporoholdings.jp/news/items/20250214_sh_mlt_ja.pdf

Profile

桑原 敏輝 (くわはら としてる) さま

サッポロホールディングス株式会社 DX企画部 部長

1998年サッポロビールに入社。営業企画を経てビール類のブランドマーケティングを経験、2022年に始まった社内のDX人財育成プログラムに参加し、2023年よりサッポロホールディングスにてグループ全体のDX人財育成に携わる。現在、DX人材育成・データ基盤構築・生成AI基盤整備など、グループ全体のDX環境整備を統括。

菊池 紗弥伽 (きくち さやか) さま

サッポロホールディングス株式会社 DX企画部 アシスタントマネジャー

2015年ポッカサッポロに入社。マーケティング部門で10年飲料、レモン類の商品担当を経験。2024年DX企画部へ参画。現在、顧客理解の深化、AIを活用した業務プロセス改革検討推進を担当。

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2. 飲料業界における市場調査の重要性と3つの構造的課題

トレンドの移り変わりが激しい飲料業界において、市場調査は商品化可否を判断するための重要なゲートとして機能しています。一方で、長年にわたってリサーチの現場が抱えてきた課題もあります。

Q|トレンドの移り変わりが激しい飲料業界ですが、商品開発の意思決定において「市場調査」はどの程度重視されているのでしょうか?

A|(桑原様)調査で良い結果が出れば必ずヒットするかと言われれば、そこはまた別の話です。ただ、一つ確かなのは「調査で結果が出ない商品が、市場で売れる確率は極めて低い」ということ。ですから、事前に需要を確かめるプロセスは、開発において絶対に欠かせません。

特にビールは、1年間に発売できる数が限られていますし、お客様のブランドに対するロイヤリティも非常に強い商材です。だからこそ、独りよがりな企画にならないよう、お客様と深く繋がるためのブランド戦略や、マーケティングの精度には徹底的にこだわっています。

Q|開発プロセスについて教えてください

A|(菊池様)新商品かリニューアルかにもよりますが、基本的には、まずお客様ニーズからコンセプトを立案し、調査で「そもそも需要があるか」をふるいにかけます。その後、中身の設計やデザイン作成に進み、実物を見た上での受容性調査を再度行ってコンセプトとアウトプットの整合性を確認していく、という流れです。

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Q|年間で膨大な新商品を上市・調査される中で、従来の調査手法に対してどのような課題を感じていましたか?

A|(菊池様)調査チームにもヒアリングを重ねる中で、主に3つの課題が挙がりました。1つ目は「コスト」です。調査には多額の費用がかかるため、調査できる案件が限られます。コストをかけて調査するべきか決裁を通してからでないと調査できないので、調査できる案件に制約が生まれています。

2つ目は「スケジュール」です。調査設計から実査まで約1.5か月かかるため、商品開発においてスケジュールが後ろ倒しになりがちで、調査が間に合わないケースもあります。

3つ目は「評価基準(ノルム)が出しにくい」という課題です。案件によって調査の対象者条件も取れる予算も調査サンプル数も変わるため、調査結果がいいのか悪いのかを社内で相対的に評価しにくいという課題があります。

(桑原様)コストでいうと、規模の大きい商品はある程度の予算をかけて調査ができますが、そこまで規模が大きくない商品は十分な調査ができない、ということが起きています。また、通常の調査にはどうしてもバイアスがかかる問題もあります。調査参加者が必ずしも世の中を反映しているわけではなく、そのバイアスをどう考慮してフラットにするかという課題もあります。特にアルコール飲料は嗜好品で、地域特性が強く出る商材なので、日本のマーケット全体をフラットに、かつ詳細に把握することの難しさを日々痛感していました。

3. AIシミュレーション市場調査への期待と第一印象──「まずトライしてみたい」

数多くのAIツールが登場する中、サッポロホールディングスのDX企画部がAIシミュレーション市場調査に注目したのはなぜか。その背景には、「顧客理解を深めるためならあらゆる手段を試したい」という強い意志がありました。

Q|「AIによる市場調査のシミュレーション」について、期待も懸念も含め、どのような第一印象を持たれましたか?商品コンセプト調査の精度検証に取り組んだ理由(目的)と、サッポロビール様やポッカサッポロ様を巻き込まれようと思われたきっかけ・ポイントがあれば教えてください。

A|(桑原様)第一印象は、期待の方が大きかったですね。もちろんAIがまだ発展途上であることは承知していましたが、それ以上に「今までのリサーチでは不可能だったことが、できるようになるかもしれない」という可能性や、リサーチにかかる時間の短縮ができるのではという期待がありました。そのビジネスへの好影響の可能性に、まずトライしてみたいという気持ちが強かったです。

商品コンセプト調査の検証に取り組んだのは、「顧客接点の拡大」「お客様との繋がりを深める」という戦略的目標があるからです。そのためには顧客をより深く理解することが前提になります。AIのみならず、より良いアプローチがあれば試したい。それほど顧客理解の深化に力を入れているということです。

(菊池様)私も桑原と同じく期待の方が大きかったですね。私はマーケティング部門で10年ほど業務に携わってきたので、従来のリサーチが抱える限界やもどかしさを、身をもって感じていました。そんな時に、AIシミュレーション市場調査の話を伺いました。他業界などで先行して活用されている事例を知り、「これなら今の課題を突破できるかもしれない」と。何より、調査の代替ではなく、今までできなかった、AIが「未来を予測する」という可能性に、これまでにない魅力を感じました。「もし自分が現場の担当者だったら、絶対に試してみたい!」――そう直感したのを覚えています。

4. 「平均誤差3.7%」が証明した精度──現場からの"諦めない調査"への期待

実際に未来リサーチ(ベータ版)を使った検証を行い、定量調査の平均誤差が3.7%(※)という結果が得られました。この数字は、社内でのAIシミュレーション市場調査の普及を後押しする強力なエビデンスになりました。

Q|今回、グループ会社(サッポロビール、ポッカサッポロ等)を横断して取り組まれました。現場担当者を巻き込まれた際の反応や、社内での期待値はいかがでしたか?

A|(菊池様)マーケティング本部の担当部長にお話した際にも、『期待の方が大きい』という前向きな反応をいただきました。これまでは予算面の制約もあり、“本来はもっと深く知りたい” と思いながらも、やむを得ず実施する調査を絞り込まざるを得ない場面もあったようです。」。担当者レベルでは「企画の迷いが減る」「こんな時代になったんだ!」といった前向きな声も出てきました。

Q|新しい技術だけに、戸惑いや慎重な意見もあったのではないでしょうか?

A|(菊池様)もちろんありました。「人間がやるべき判断をAIに任せていいのか」「これまでの調査とどう使い分けるのか」「そもそも信じていいのか」……。そういった不安や慎重な意見が出るのは、当然のことだと思います。ただ、最終的にはそういった慎重な気持ちより、「できることが増える」という期待感の方が勝ったことや、まずは試してみようと、グループを横断した協力体制が築けたことで、トライアルを進めることができたと感じています。

Q|実際に「未来リサーチ(ベータ版)」を活用してみて、精度の高さや実務での手応えはいかがでしたか?

A|(菊池様)定量調査の誤差が3.7%以内という結果には、本当に驚きました。結果がでる前は私自身も正直ドキドキしていました(笑)このレベルの精度が出たのは率直にすごいと思いました。これは社内に自信を持って勧められるものだと確信しました。

(桑原様)何より、現場のマーケティング部門からポジティブな評価が得られたことが、個人的には一番嬉しかったです。私たちはDXを推進する立場なので、多少の誤差は「まずは試してみよう」と受け入れる準備ができています。でも、実務を担うメンバーはそうはいきません。その彼らが、「これは実務の判断に耐えうる、ちゃんとした品質だ」と認めてくれた。この事実が、プロジェクトを前進させる大きな原動力になりましたね。

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(※)「未来リサーチ(ベータ版)」を用いた、購買意向/飲用意向などのコンセプト受容性に関する過去調査データでのプレ調査結果

5. グループ横断での展開ロードマップと飲料業界のリサーチ未来像

今回の検証成功を受け、グループ全体での展開はすでに具体的なフェーズに入っています。ポッカサッポロでは9月までに6件の定量調査を実施し精度を確認する計画が、サッポロビールでも検証に向けた協議が進んでいます。

Q|今後、AIによってリサーチの劇的なスピードアップが実現すると、意思決定のあり方はどう変わっていくのでしょうか?

A|(桑原様)これまで調査でやりきれていなかった部分、たとえば「未来・今後の変化を調査から読み取る」ということができるようになると、今のニーズだけでなく少し先のニーズに対応した商品開発ができるようになると思います。当社は今、ビールだけでなくRTD(※)(缶チューハイ等)など、トレンドの移り変わりが非常に速いカテゴリーも強化しています。こうした商材では、お客様の「今」を瞬時に理解し、商品に反映させるスピードこそが生命線です。AIシミュレーション市場調査は、まさにそのための強力な武器になると期待しています。

(※)RTD(Ready To Drink:開封してそのまま飲める缶チューハイやカクテルなどのアルコール飲料)

Q|今回のプロジェクトを踏まえた今後の展望について、貴社グループ内での広がりをどう描いているか、そしてその先に世の中の商品開発やリサーチのあり方をどう変えていきたいか、皆様のビジョンを教えてください。

A|(桑原様)これまでも大切にしてきた顧客理解を、さまざまな手段を活用しながらさらに深化させることで、お客様のニーズに一層寄り添った商品・サービスの提供が可能になると考えています。マーケティング部門の担当者が、今以上により良い商品・サービス開発へ集中できる環境づくりにつながることを期待しています。

(菊池様)顧客理解の領域にはまだまだ可能性があると感じています。AIシミュレーション市場調査でこういうことができるという事実が、感情的なワクワク感を生んでいます。調査はかなりの費用的インパクトもある領域ですが、ここにAIが活用できれば、マーケティング部門の負担軽減とさらに良いアウトプットにつながるのではないかと感じます。AI活用も含めた進歩が進んでいってほしいと思っています。

まとめ

サッポロホールディングスの事例が示したのは、「AIシミュレーション市場調査は精度が証明されれば、現場は動く」という事実です。コスト・スケジュール・評価基準という飲料業界のリサーチ3大課題に対し、平均誤差3.7%という検証結果が「諦めていた調査が実施できる」「企画の迷いが減る」という現場の変革を生み出しました。グループ横断での展開が具体的に動き始めた今、飲料業界におけるAIシミュレーション市場調査の実用化は次のステージへと進んでいます。

「調査コストがかかりすぎて諦めている案件がある」「3ヶ月待てない急ぎの検証がある」「社内でAIシミュレーション市場調査への理解を深めたい」──そんな課題を持つ飲料・食品・消費財メーカーのマーケター・リサーチ担当者の方に向けて、10社様限定で「未来リサーチ(ベータ版)」先行利用パートナー企業様を募集しております。

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